あの方の歴史 6
恋多き女、金持ちの女、魅力にあふれた才能のある女、シャネルに冠せられた幾多の賞め言葉よりも、この晩年の最後の決意が、私を一番感動させ、一挙に偉大な女に昇格させてしまいます。
それをポール・モラン風の表現にすると、シャネルは骨の髄まで復讐の女なのです。
「シャネルは1914年以前のすべてを枯れさせてしまいました。あの頃の代表的なクーチュリエだったウォルトもパキャンも、彼女の前にはあえなく枯れ死にさせられてしまいました。シャネルはどんなに成功しても、羊飼いの復讐を忘れはしなかった」
シャネルの祖先は羊飼い―大地に生き、大地をさまよう人びとの系列であると、モランは象徴的な表現をしていて、この系列には、ジャンヌ・ダルクや作家のコレットが属し、彼女たちはペタペタ靴をはいて、田舎から都会に向かって進撃してくるのだといいます。